絵本と情報モラル

6/25(火)に、鹿児島県薩摩郡さつま町立盈進(えいしん)小学校に行ってきました。
珍しい字面なので調べてみたところ、こちらは宮之城第15代領主島津久治公の文館「盈進館」が由来、その跡地に建てられているのだそうです。

こちらで、一般社団法人・情報教育研究所の代表理事、永坂武城氏による情報モラルに関する授業が行われると聞き、視察に伺いました。

情報教育研究所では、以前から子どもたちの心を育む教育の一環として、絵本を通じた取り組みを行っています。

情報化社会に育つ子どもたちが危険にさらされないよう大人がしっかりと教え、見守ることが大事だと永坂氏は仰います。
また、子どもたちの心を育てるために絵本は有効なツールだとして、絵本を使った授業を数多くなさっています。

講演前の体育館

講演前の体育館

この日は、1・2年生、3・4年生、5・6年生に向けて、各1コマずつ、計3コマの授業が行われました。

1・2年生に向けた授業

1・2年生に向けた授業

1・2年生に向けた授業は、友だちの立場や都合など、具体的な事例に「あなたならどうする?」という質問を交えながら自分自身との相違点を理解させる内容でした。

3・4年向けの授業

3・4年生向けの授業。
「お手伝いしてくれる人ー?」

3・4年生向けの授業は、友だちとの些細なケンカを通じて、怒りを覚える時、謝る時の方法、勘違いしない・させないように注意すべき点などワークを交えたとても濃い内容のものでした。

5・6年生へは、インターネット上の情報の信憑性を具体事例をあげて分かりやすく説明なさいました。またインターネットへの発信者として注意すべき点など、こちらもとてもわかりやすい内容でした。

いずれの授業の中でも、最後に絵本の音読がありました。
それぞれの授業のねらいにそった絵本を読み聞かせることで、子どもたちは先ほど体得したこととまた別の事例を、今度は頭で理解しようとするかのように、絵本に描かれた情景がすーっと入っていくようです。
どの授業も100人を越える児童数でしたが、音読の際には、水を打ったような静けさの中、永坂氏の声だけが響いていました。

計6冊を音読されましたが、それらの本を含む35冊が「かもめ文庫」として、盈進小学校の図書室に寄贈されました。

かもめ文庫

かもめ文庫

これは、情報教育研究所が子どもの心を育む・情報モラルに通じるという観点で選定した絵本を、主旨に賛同した方や企業の寄付金によって小学校へ寄贈するというものです。

授業後の子どもたちは、この本箱と本を見た途端、本を手に取り、皆で仲良く読んでいました。
3・4年生の授業を受けた男の子が、「これ面白そう!」と言って手に取った本のタイトルが「人生って、なに?」だったことに驚いた私でした。

子どもたちが興味を持つ絵本で、身近な課題に結びつけながら社会で必要なことを学ばせる、という手法はとても素晴らしいものでした。
押しつけではなく、体得する機会を与えてこそ、身に付くのだと実感しました。

この取り組みをもっと知って頂けたら、と思います。