ケータイ甲子園2012を観戦しました

第2回目の「ケータイ甲子園」が、2013/3/10(日) 大分県農業会館にて開催されました。
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ケータイ甲子園とは、「高校生による自主的な活用法を集め、優れた事例を表彰することによって、ケータイのポジティブな使い方を広め、問題点についての理解を深め、賢い対応法が身につくことを目的として開催されるイベント」です。
本年は、全国より26チームが応募、8チームが予選通過し、全国大会への出場となりました。
出場校と発表内容を以下に記します。

1.北海道釧路湖陵高等学校 演劇部
「携帯電話の安全な使い方スクリプト」
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男女2人の学生が携帯電話の無料ゲームについての会話で始まる演劇でした。
自制心を持って無料のソーシャルゲームをしていると言う女子学生に、課金や知らない人との出会いの恐れを伝える男子学生、それに応じない女子高生がだんだんゲームサイトにはまっていくのですが…。
実際に起こりうるソーシャルゲーム上での出来事、その時の判断一つで自身の行動が決まります。
いざという時に自制心ははたらくのか、先を予見できるのか、かなり考えさせられる内容でした。

2.金光八尾高等学校 助け合いケータ愛
「iFit(アイフィット)」
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共用品 誰もが使いやすい 高齢者、妊産婦、障がい者、健常者問わず誰もが使いやすいものを「共用品」といいます。
誰もが使いやすいスマホカバーを①持ちやすい、②落としにくい、③使いやすいという観点から
4種類のカバーデザイン「iFit」が生まれました。
実際に施設でのアンケートを実施し、回答を得たところ、より使いやすいものを求める声があり、デザインの改良がなされました。
「使い易いのであれば、様々な方々がスマートフォンでインターネットやメールを活用し、コミュニケーションをとることができる」という想いに共感しました。

3.大分県立別府青山高等学校 NTN
「シンデレラ〜もしシンデレラがケータイを持ったら〜」20130311-000331.jpg
授業で情報の強化を選択した発表者たち、「携帯電話を安全に使うにはどうしたらいいかを子供たちにわかりやすく危険性を伝え、安全な使い方をしてもらいたい」と考えたそうです。
そこで、アンケートを実施し、誰もが知っている物語「シンデレラ」に当てはめて危険性を伝える話を作りました。
とてもわかり易く、私を含めた事情がわかる大人たちから爆笑が起こりました。

4.自由学園男子部高等科 持ち物の係
「中高生・企業と共有したいケータイ事情」20130311-000345.jpg
こちらの学校の生徒は全国から集まるため、中学から高校までの6年間を寮で過ごします。
その寮には大人はおらず、自分たちのことは自分たちでという自治の考え方に基づき、それぞれが様々な役割を担っています。
家庭では親に注意されることによりケータイ依存症にならないよう守られていますが、寮においてそのような親の立場をするのが、持ち物の係です。
都度注意することにより、ルールを皆が把握し寮の秩序を守ることに成功しましたが、それでは各人が自律しているとは言えません。
自律のためには自身の行動の自覚が必要、それを気づくのために考え出されたアプリが「Pushmen」、スマートフォンの利用において、予め利用時間を設定し、予定の時間が来るとポップアップで教えてくれます。また、どういうジャンルにどれだけの時間を費やしたのかも表示してくれます。
高校生から出た「自律」という言葉に深く感動しました。

5.奈良県立奈良朱雀高等学校 情報工学科
「災害におけるSNSや災害用伝言サービスの活用を広める」20130311-000354.jpg
ケータイの利用方法を広めて知ってもらうために、
「便利と安心」の観点から災害伝言板音声お届けサービスを、「コミュニケーション」の観点からTwitterを、「安全とリスク」を踏まえての取り組みでした。
どう使えば広めることができるかが課題でしたが、まずは、Twitterの使い方に慣れてもらうために、生徒からその保護者へ指導、その結果、通信訓練では保護者も学校からのツイートに返信をすることができました。
これで、災害時の連絡手段の一つとなり、また家族のコミュニケーションツールとしても役立ちそうです。
近隣のデイサービスセンターへは、スマートフォンを用いて災害伝言用サービスの使い方の出前授業を行ったそうです。
スマートフォン調達の課題は残りますが、ぜひこの取り組みは継続して行って頂きたいと思いました。

6.鳥取県立鳥取商業高等学校 TORISHOケータイ利用法改革チーム
「気づこうマナー、築こうモラル〜加害者にならないために〜」
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これまで自分たちが被害者にならないよう教わる機会はあったたそうですが、生徒側から自らが加害者にならないように、と発信する研修を行った、というものです。
情報伝達ゲームでインターネットの特徴をわかり易く説明したり、動画を用いて誹謗中傷、プライバシーや著作権侵害などを気づいてもらうような工夫がたくさんありました。
生徒が退屈しないように自分たちで気づく授業にしたい、という想いが表れていました。
インターネット社会は常に変化しているので、新しい知識を入れることが大事なのだと説明がありました。

7.岐阜県立岐阜総合学園高等学校 マルチメディア部
「交通安全のすゝめ」
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こちらの学校では、交通事故が年々増加傾向にあり、自転車との事故が多いそうです。
学校でも様々な取り組みがなされているのですが、生徒の意識改革や新しい発想の解決策が必要と常々感じていたそうです。
事故に遭いそうな経験(ヒヤリハット)が情報として共有されないため、共有後気軽に見ることができるケータイのインターネット機能で解決したいと考えたそうです。
そのためアンケートで実態を調査し、GoogleMapに事故が起きた(起こりそうな)場所、不審者情報などをマーキングし注意喚起を行うことにするそうです。
生徒が必要な時に必要な情報を、保護者にも情報提供ができるメリットがあります。

8.静岡県立浜松城北工業高等学校 オリパラ2020
「自作Webクイズで支持率UP!『夢実現・東京五輪&パラ五輪』」
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日本中が一致団結して復興を進めている中、2020年オリンピック&パラリンピックの東京招致実現の意義を実感したそうです。
招致の課題は支持率のUPであることから、ケータイを活用することでオリンピックやパラリンピックの魅力をアピール、クイズ形式でより理解を深めてもらうことにしました。
企画、作成したクイズアプリは5問連続出題、全問正解で修了証が発行されるというものです。
クイズに回答者に招致に関するアンケートを実施したところ、招致支持率が上がったという結果が出たそうです。
また、今回のケータイ甲子園出場にあたり、オリンピック招致委員会のスーパーバイザーからも応援メッセージを頂いたそうです。

以上、8つの発表でしたが、生徒たちは皆、持ち時間20分の中で最大限の力を発揮し、素晴らしいプレゼンテーションを見せてくれました。
どれも大人たちからの押し付けではない独自の視点が活かされたものばかりで、気づきが多く納得させられっぱなしでした。
高校生の本気を目の当たりにした私にとって、まさに大人の凝り固まった思考をほぐす良薬となりました。

本年の受賞校は以下の通りです。

グランプリ
金光八尾高等学校 助け合いケータ愛
「iFit(アイフィット)」

企業賞(ドコモ)
奈良県立奈良朱雀高等学校 情報工学科
「災害におけるSNSや災害用伝言サービスの活用を広める」

企業賞(Google)
岐阜県立岐阜総合学園高等学校 マルチメディア部
「交通安全のすゝめ」

この「ケータイ甲子園」は、高校生が真剣にケータイと向き合い、安全に便利に社会に役立つ方法を考えるきっかけを与えているように思います。
もっとたくさんの方にこの取り組みを知って頂き、来年の開催が更なる発展を遂げるよう願っています。