とても重たいタイトルですが、きっと事業に関わる方なら誰でも関心のあることだと思います。
先週末2日間に渡って開催された「ITC Conference 2014」に参加してきました。
ITコーディネータ協会が主催する、年に1度の大掛かりなイベントです。
ITコーディネータにはいくつかの役割がありますが、中でも大きな役割は、「IT経営(ITの活用を通じて企業経営者が経営課題を解決し従来のビジネスモデルの転換を行なうこと、あるいは新しい経済・社会システムを構築すること)を行うにあたり、これをサポートする中心的な担い手」だと思います。これは、ITコーディネータ協会のWEBページの中で定義されています。
ITはあくまでツールであり、これを活用することにより経営課題を解決する訳ですが、そもそも経営課題がしっかりと洗い出されているのか、戦略はしっかりと立てられているのか、という限りなく出発点に近い部分が実は非常に重要な要素となります。
初日の基調講演は、一橋大学大学院 国際企業戦略研究科 楠木 建 教授による「戦略ストーリーを創るセンス」というタイトルの経営に関するそもそものお話でした。
以下は、講演のメモです。
大切なことほど「言われてみれば当たり前」
商売の世界には大発見はない
なぜ当たり前のことが現実の商売でできないのか?戦略とは「競合他社との違いをつくる」こと
違いをつくってつなげる → ストーリーとなる
大切なことは、他社との違いがどう儲け話に繋がっているか?
なんで儲かる? それはね、と説明できること ←これがつながり戦略は組み合わせではなく、順列であり時間を背負っている
アクションの意味はストーリーの中で決まる
飛び道具がないのが商売
ストーリーとは、空間的広がり × 時間的奥行き
飛び道具ばかり羅列しても、後が続かないということなのだと認識しました。
日本マクドナルドの原田会長が社長でいらした頃の戦略のお話も伺いました。
がたっと落ちた収益を回復させるために打つ手だてと成果、それに対して更なる手だてと成果、という具合に一つの物語にまとまっており、「だから儲かる」と納得できました。
戦略ストーリーを創るにあたり必要なのは「センス」だそうです。以下、講話メモです。
スキル vs センス → 担当者 vs 経営者 と表現できる
ex. 機能分業要素単位に対応 vs 商売全体丸ごと連動
ex. 洋服のセンスは部分ではなく全体評価センス
定義されていない、物差しがないから示せない、千差万別、それ自体でフィードバックがかかりにくい、育てられない、投入努力と成果の因果関係が不明確、代替が利かないスキルへの傾斜
なんでもスキルで解決しようとしている?
世の中の人はスキルが好き、会得できる方法が準備されている
ロジカルシンキングはスキルである経営は向いているやつがやればいい
必要なのはセンスなのに、スキルを磨こうとする経営者が多い、というお話をなさっていました。スキルは担当者が磨くべきもので、経営者がスキルを磨こうとすると担当者は不要となってしまう、もしくは、経営者ですら経営担当者という位置付けになってしまう、とも。
なかなか過激な口調の楠木教授、拝聴していて爽快感がありました。
センスの正体
抽象と具体の往復運動
論理化と具体化
具体→論理化→本質→具体化センス
振れ幅が大きい
抽象度が高い
できる≠ するアウトサイドイン は センスがない人
こうなるだろうではなく、こうしよう
「せざるを得ない」を経営者が言い出したら終わり 誰も頼んでいない分析は後回し
本当に大切なことは分かっているはず
まずは、ストーリーをつくる
足りない情報は後で補えば良いセンスを見極める
センスを持つ者は100人中2-3人でいい
センスが育つ土壌をつくる
センスがあると思ったらどんどんやらせる個人のセンスの有無を見抜くには?
一挙手一投足を丸ごと見る → センスはスタイルに現れるセンスを磨くには、インターネット利用など横着せずに自分の頭だけで考えること
情報インプットの遮断 孤独こそが思考の友 つながらない
読書し、本と対話する
なぜという論理を考えるきっかけにつながる
楠木教授が仰るセンスの正体、実は私にはよく分かりませんでした。
ただ、自分の頭でしっかりと考えることでセンスを磨くことはできる、と理解しました。まだまだ学び(インプット)が足りない私は、楠木教授の著書を電子書籍で購入しました。
講演の最初に、楠木教授が披露されたのは読者の書評です。数々の著書を発刊されているそうですが、読んだ方の8割が「カネ返せ!」と言われるのだとか。なぜなら「当たり前のことしか書いていないから」なのだそうですが、インプット後に自分なりのアウトプットが出来て初めて理解できたことになるのではないか、と私は思います。自分なりのアウトプットができるようにしっかりと戦略のストーリーを考えてみます。